歪みの人達【HR/vol.13】


私の所属している会社は業種というくくりでいえば、「情報サービス業」に該当するかと思います。
HRの情報配信会社といっていいでしょう。
そんな私もお仕事の幅を少々広げていただき、最近お仕事をお探しの方と直接お話ししてアドバイスをさせていただくようなこともしています。僭越ながら業界でいうところの「キャリア・コンサルタント」に該当するお仕事をやらせてもらっているのです。ビジネスモデルとして頭の中で理解してはいたものの、実際やってみるとこんな難しいとは思いませんでした。

まずは私どものサービスにお申し込みいただいた求職者の皆様のご都合をお聞きし、その方が「今まで何を仕事としてやってきたのか?」「何ができるのか?もしくは何ができそうか?」「そもそもどうして仕事を探しているのか?」ということを概ね聞いていくのですが、必ずといっていいほど人生相談のような形になってしまいます。
私はこの業務に関しては、まだまだ経験が浅いですし(元々は広告の営業マンですので)、やり方がいけないのかもしれませんが、なるべくその方一人ひとりの話したいことを傾聴するようにしています。というかそれしかできないので。
FacebookTwitterなどで時たま書いていましたが、私の「どういう仕事がしたいのですか?」という問いに対する回答で一番多いのが「正社員になりたい」…その理由は「安定したいんです」…その理由は「子どもが生まれたんで」とか「離婚してしっかりしなくてはならないんです」とか…。
それって、対求人企業に対しては志望理由にならないんですよね。でも間違ってるとも言いづらいんです。また、その方達がものすごくスペックが低くてどうしようもないのか?っていうとそうでもないんです。相談のってる私なんかより数倍格上だなって方もいるんです。
例えばバイリンガルで英語できて、ITリテラシも全然高い方が就職できてなかったりします。セルフブランディングが上手くないのかもしれません。

その状況って誰が作り出したんでしょうか?
私はマスメディアだと思っています。世間一般の方よりマスメディアに近い位置で働いている(と思う)ので、自虐ネタになってしまうのですが、昨今、「就職永久氷河期」だったり、「正規雇用・非正規雇用」って言葉を(この言葉を作ったのはマスじゃないかもしれないが)世の中に垂れ流して焦燥感を煽っているのは間違いなくマスメディアだと思います。

話は少し変わりますが、広告の営業マンをしていた最近まで感じていたことは、会社というものを存続させるための大切な雇用・採用というものをお客様は広告という不確実性が高いものにお金をかけなくなっているということ。採用手法は私が関わりだした成果にのみ支払いが生じる人材紹介などを通り越して、急激にユーザーを増やしているFacebookやLinkedinに代表されるソーシャルにシフトされていっているのだと思います。
今年現れたそれらの新しい採用手法はまだ完全ではないですし、採用手法のパラダイムシフトは思っているより緩やかな歩幅で進むような気がしています。

でも、それらがスタンダードになったときに取り残される「歪みの人達」は必ず存在すると思っています。
古き良き社縁が守っていた「安定感」や「サラリーマン=中流」思考は就職活動中の学生さんなんかにも根強く残っているみたいです。マスが埋め込んだ親世代の思考はその子ども達へ受け継がれていきます。その根拠の無い思考はちょっとした歪みでマスの言う「非正規」みたいな蟻地獄に人を引きこんでいくのだと思います。

Linkedinなどの新しい潮流は物事を正しい方向に進めていくかもしれません。でも私はLinkedinなんて知らないで過ごしている「歪みの人達」もどうにかしたいなと思っています。なぜなら私も「歪みの人達」の一部だから。

※誤解があるかもしれない表現を使っています。気を悪くされた方がいましたらお詫び申し上げます。